お知らせ

 NEWS

勘当した息子(親子の縁を切る方法はあるか?)

ブログ
2025.03.12
イラスト

勘当した息子(親子の縁を切る方法はあるか?)

 

【相談事例】

私(70代)の長男(50代)の事で相談があります。

長男は、ろくに仕事もせず、パチンコで何度もサラ金から借金をしていました。

過去に2度ほど数百万単位の借金を私が肩代わりして、返済してやりました。

その後も時々、金の無心には来ていましたが、サラ金から金は借りていないようでしたので、多少は安心していました。

ところが、息子の小学校の時の友人から連絡がきて、「息子さんにお金を貸したが返してもらえず、最近連絡も取れなくなった」とのこと。

 

こんな息子には、もう我慢がなりません!

 

親子の縁を切り、2度と家の敷居をまたがせない事にしました。長男の友人には、私からお金を返しておきました。

長男は勘当したのだから、私が亡くなっても、長男には財産はいかないと思いますが、実際はどうでしょうか?

 

ちなみに私には、妻と長女がいます。

 

 

 

1.法的に親子の縁を切ることはできるか?

 

ときどき、親子の縁を切ったと聞くことがありますが、法的に親子の縁を切ることはできるのでしょうか?

残念ながら(?)、法的に血のつながりがある親子の縁を切る方法はほとんどありません。

ですから、事実上、絶縁状態になることはあっても、相続権がなくなるなど、戸籍的にも親子でなくすることはできないです。

 

 

2.相続させない方法

 

長男に財産を相続させない方法として、どんな方法が考えられるでしょうか?主に3つあります。

・廃除(はいじょ)

・生前贈与(長男以外の人に)

・遺言

 

一つずつ見ていきましょう。

 

(1)廃除(はいじょ)

廃除とは、自分の意思で、「○○には相続させない」と家庭裁判所に認めてもらうことです。

(難易度高いです)

 

今回のケースでは、相談者が、自分が亡くなったときに長男に相続させないようにする行為です。

生前、家庭裁判所に申請する方法と、遺言で廃除をする旨を書く方法があります。

遺言で書いても、亡くなった後に家庭裁判所の審査があります。

 

廃除は強力な効果があるので、相当なことがないと家庭裁判所は認めてくれません。

子供からの暴力が相当期間続いていた場合などです。

言い争いでカッとなり手を出してしまった、程度では廃除は認められません。

今回のケースでも、廃除が認められることはかなり難しいと思います。

ですから、相続権を奪うために「廃除」という選択肢は、ほとんどあり得ないと思ったほうがいいと思います。

「こんな制度があるよ」、程度の認識でいいと思います。

 

(2)生前贈与(長男以外の人に)

こちらの方が、現実的だと思います。

相談者から妻に預貯金を移すとか、自宅の名義を長女に変えておくとかなどです。

 

ただし、贈与税には十分注意する必要があります。

 

通常であれば、1年で110万円までは贈与税がかからないのですが、それを超えるととても高額の贈与税がかかります。

相談者が1000万円の預貯金を妻名義の口座に移したとします。

法的には、相談者から妻に1000万円の贈与があったとされます。

この場合、贈与税がどのくらいかかると思いますか?

なんと、妻に177万円程度の贈与税がかかってしまいます。

これは、自宅の名義を妻に移した場合、その自宅の価値が1000万円だったとしても、同じです。

 

ですから、贈与税は本当に気をつけなければなりません。

 

多額になる贈与税を回避するための制度はいくつかあります。

これは税金の冊子ではないので、詳しくは書かないですが、こんな制度があるくらいは把握しておくといいと思います。

 

20253月時点で

 

●夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

居住用の不動産に関する贈与なら、2000万円まで贈与税がかからない制度です。

次のような条件を全て満たす必要があります。

・夫婦間の贈与であること

・結婚している期間が20年以上

・贈与したものが、居住用の土地建物か、そのための資金

・贈与税の申告をする

 

●相続時精算課税

親から子への贈与で、2500万円までなら「取りあえず」贈与税がかからない制度です。

次の条件を全て満たす必要があります。

・親から子(や孫)への贈与(それ以外は適用なし)

・贈与する年の1月1日時点で、親が60歳以上、子(や孫)が20歳以上

・次の年、贈与を受けた子(や孫)が確定申告をする

 

相続時精算課税は、「取りあえず贈与税を回避して、将来、相続税で精算しましょう」、という制度です。

 

詳しくは、税理士さんに相談することをお勧めします。

 

 

相談者から妻への贈与であれば、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」が使える可能性があり、相談者から長女への贈与であれば、年齢がクリアしていれば「相続時精算課税」が使える可能性があります。

 

いずれにしても、贈与をする場合、後で多額の税金が課せられることを避けるためにも、税理士さんに相談した方が安心と思います。

 

もう一点注意点。

生前贈与しても、長男には「遺留分」という権利が残ります。

期間は10年間。

 

贈与してから10年、お父さんが元気であれば、遺留分から外れます。

(孫など、相続人以外への贈与なら1年で遺留分から外れます。)

 

ですから、贈与をするには、元気な内にするのが良いかもしれませんね。

 

 

(3)遺言

これも、今回のケースで相談者が長男に相続させない方法としては現実的です。

不動産や預貯金などの財産を妻や長女に相続させる旨の遺言を書くことです。

このような遺言を書いておけば、長男には相続財産がいかないでしょう。

 

しかし、2点ほど注意すべきことがあります。

 

一つ目は、妻に相続させると書いておいても、妻が先に亡くなる場合があると言うことです。

 

先に妻が亡くなったらどうなるでしょうか?

 

例えば、自宅は妻に相続させると書いていたとします。

しかし、妻が先に亡くなると、妻名義にはできませんので、長女にさせたくなるでしょう。

しかし、この場合、長男と長女で遺産分割協議が必要になってしまします。

ですから、このようケースも想定して、次のように書いておけば安心です。

 

**********

自宅の土地建物は、妻に相続させる。

もし、妻が先に亡くなった場合は、長女に相続させる。

**********

 

このように書いておけば、妻が先に亡くなった場合は、長女に名義がいくことになります。

 

二つ目の注意点は、何ももらえない長男には遺留分があることです。

遺留分は、遺言で何ももらえない相続人でも、少しはもらえることを法律が認めた制度です。

相談者が亡くなった後、遺言で何ももらえないことがわかった長男が、弁護士に相談したら、間違いなく遺留分のことをアドバイスするでしょう。

ですから、少しは長男に財産を渡すような遺言を書くか、長男には借金返済でこれまで多くの利益を渡している(これを「特別受益」といいます)から、これが相続分だという付言事項を書いておくという方法もあります。

遺言で何ももらえない相続人がいる場合、遺留分には注意してください。

 

 

遺留分を減らす方法に「生命保険」を活用する方法があります。

長くなるので、これはまた、別の機会にお知らせしますね。

 

 

3.親子の縁を切る方法が一つある

 

ところで、先に、「血のつながりがある親子の縁を切る方法は『ほとんど』ありません」と書いた点にお気づきでしょうか。

 

実の親子の縁を切る方法が、実は一つあります。

 

それは、貧困や虐待などで実の親が子をちゃんと育てられない場合で、養親となった人を戸籍上も実の親とする制度です。

「特別養子縁組」といいます。この特別養子縁組をした場合、実の親との親子の関係は法律上切れます。

つまり実の親が亡くなっても、子供は相続人になりません。

特別養子縁組をするには、子供が15歳になるまでに養親から養育されている必要があります。

今回のケースでは、お子さんは既に50代なので、利用できないですね。

 

 

4.【今回のポイント】

 

・実の親子関係を切ることはできない。

・どうしても、財産を渡したくない子どもがいる場合、廃除、生前贈与(他の相続人に)、遺言の3とおりが考えられる。

・廃除は、重大な虐待があるケースなどで適用になるので、現実的にはあり得ない。

・他の相続人に生前贈与する方法は、贈与税に注意。

・遺言をする場合は、遺留分に注意。

・子どもが15歳までであれば、実の親子関係が切れる特別養子縁組という制度がある。

 この制度は、親が貧困や虐待があるときだけ、利用が可能。

 

 


お問い合わせ

ご予約はお電話、またはお問い合わせフォームより承ります。

お気軽にご連絡ください。

受付時間: 9:00〜17:00