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養子縁組しても苗字(姓)が変わらない方法
こんにちは。司法書士の川嵜です。
今回は、養子縁組をしても苗字(姓)を変えずに済む方法について、先日お客様との議論の中で偶然発見した面白い方法をシェアしたいと思います。
養子縁組のメリットと「苗字問題」
養子縁組には、相続税の対策として利用されることがありますよね。
(私は税理士ではないので、そのような方法があると聞き及んでいるだけですが)
例えば、養子が1人増えるごとに相続税の基礎控除額が600万円、生命保険は500万円増えるため、相続税の課税対象となる富裕層の方々にとっては、節税対策として提案されることがあるそうですね。
しかし、この養子縁組を検討する上で大きなのハードルとなるのが、
「苗字が変わってしまうこと」
ではないでしょうか。
これが原因で、養子縁組を躊躇される方も少なくありません。
養子縁組は「親が増える」イメージ
ちなみに、養子縁組をすると実の親との関係がなくなると誤解されている方もいらっしゃいます。
でも、それは全くの誤りです。
養子縁組は、実の親に加えて、さらに養親との縁もできるというイメージです。
つまり、「親が増える」のであって、
実親との「親子の縁がなくなる」わけではありませんのでご安心ください。
苗字を変えずに養子縁組する方法:登場人物とケーススタディ
では、いよいよ本題です。
養子縁組をしても苗字が変わらない具体的な方法についてご説明します。
養子になる人が結婚するタイミングだと、可能です。
まずは、登場人物をご紹介しましょう。
・田中太郎さん:おじいちゃん(養親になる人)
・山田恵子さん:田中太郎さんの娘さん
・山田浩さん:山田恵子さんの息子さん(田中太郎さんのお孫さんであり、養子になる人)
・佐藤みえ子さん:(山田浩さんの婚約者)
通常、田中太郎さんと山田浩さんが養子縁組をすると、山田浩さんの苗字は「田中」に変わってしまいます。
これを防ぐ方法が今回のポイントです。
【実践編】苗字を変えない養子縁組の方法
苗字を変えずに養子縁組を行うには、主に2つの方法が考えられます。
養子縁組で一時的に変更+婚姻で元の苗字に戻す
佐藤みえ子さんが山田恵子さんと養子縁組をする:
すると、佐藤みえ子さんの苗字が「山田」に変わります。
山田浩さんが田中太郎さんと養子縁組をする:
この段階で、山田浩さんの苗字は一時的に「田中浩」に変わります。
田中浩さん(元山田浩さん)が山田みえ子さん(元佐藤みえ子さん)を筆頭者とする戸籍に入る形で婚姻する:
これにより、田中浩さんは再び「山田浩」に戻ります。
この方法を用いることで、養子縁組をしても苗字が変わらないという状態を実現できます。
戸籍を確認すれば、奥様の戸籍に入ったことなどは分かりますが、
普段戸籍を見る機会は少ないため、この方法で事実上、苗字が変わったことを周囲に知られることなく養子縁組を行うことが可能です。
もう一つの方法(チョットややこしいですが)
前提となる知識として、民法上の規定が一つあります。
それは、「婚姻によって苗字が変わった人が養子縁組をしても、その人の苗字は変わらない」
というものです。このルールを応用します。
このルールの説明
山田浩さんが、佐藤みえ子さんと結婚し、山田さんが佐藤さんの戸籍に入って「佐藤浩」になったとします。
この後、佐藤浩さんが田中太郎さんと養子縁組をしても、苗字は「田中」にはならず、「佐藤浩」のままなのです。
まず、佐藤みえ子さんが山田恵子さんと養子縁組をする:
佐藤みえ子さんが山田恵子さんの養子になります。
すると、佐藤みえ子さんの苗字は「山田」に変わります。
山田浩さんが山田美恵子さん(元佐藤美恵子さん)の戸籍に入る形で婚姻する:
この結婚により、山田浩さんは見た目上は苗字が変わっていませんが、形式的には「苗字が婚姻によって変わった」ことになります。
その後、山田浩さん(形式的に苗字が変わった状態)が田中太郎さんと養子縁組をする:
この時、山田浩さんの苗字は「田中」にはならず、「山田浩」のままです。
これら2つの方法は、山田浩さんの配偶者(佐藤みえ子)を、
山田浩さんの親である山田恵子さんと縁組みしてから、
お二人が結婚(みえ子さんを筆頭者とする戸籍にする)
浩さんが田中太郎さんと縁組みする
という流れです。結婚と浩さんの縁組みの順序はどちらでもかまわないです。
まとめ
今回は、養子縁組のメリットを享受しつつ、苗字が変わるというハードルをクリアする方法についてご紹介しました。
縁組みと苗字が変わることに躊躇されている方にとって、今回の情報が少しでもお役に立てば幸いです。