お知らせ

 NEWS

自己信託の使い方(難易度:専門家向けの内容です)

ブログ
2026.01.12
unnamed 2

司法書士の川嵜です。

今回は久しぶりに、信託の実務のお話をしようかなと思います。

専門家向けの内容です。一般の人は難しいです。


テーマは――
**「自己信託」**です。


「自益信託」でなく、「自己信託」ですよ。


自益信託:委託者が自分を「受益者」にする信託

自己信託:委託者が自分を「受託者」にする信託


ここまで読んで、意味がわからる人向けの内容です。


※ 事例は様々な事例を組み合わせてデフォルメしています。



■■ 自己信託って何?「自分に信託する」ってどういうこと?


自己信託というのは、
委託者が自分自身に信託するという仕組みです。


「え?自分に信託するって、どういうこと?」

って思いますよね。


一般的な家族信託だと、
委託者:親
受託者:子
受益者:親(財産の利益を受ける人)


という形が多いと思います。


それに対して自己信託は、


**「自分 → 自分」**に信託する形です。


「それ、何の意味があるの?」


と思われがちですが、実は使いどころがあるんです。


私が自己信託を使ったのは、遺産分割協議の場面でした。


これまで自己信託を使ったのは、2回かな?多分・・・(思い出せないだけ?)
いずれも遺産分割協議の場面でした。


■■ 事例1:兄弟3人とアパートの相続
管理は一人、利益は三人」にしたケース


お父さんが亡くなり、相続人は兄弟3人。
相続財産はアパートが1棟。


そのアパートは、もともと兄弟のうち真ん中の1人がずっと管理していました。


ただ、お父さんは、現金はあまりない。


だから、公平に分割して、
アパートを3人で共有(各1/3)にすると管理が大変
という状況。


「管理してきた人にまとめたいけど、そのままだと他の兄弟に不公平…」
そんなご相談でした。


■■ 遺産分割協議+自己信託という組み合わせ
そこで、次のような形を取りました。


遺産分割協議
不動産はすべて、管理してきた「真ん中の兄弟」が取得


代償として自己信託を設定


取得した不動産を自己信託


受益権を3分の1ずつ、他の兄弟2人に渡す
こうすると、


・管理は1人に集中
・賃料収入は3人で分配
・将来売却した場合も、3人で分ける


という形になります。


管理は大変なので、
管理者には一定の報酬を支払う内容にもしました。


それから、兄弟がなくなった場合、次、誰が受益権を引き継ぐかもそれぞれの兄弟が自分で決める、という設定にしました。



■■ 事例2:成年後見が絡む、少し特殊なケース
もう1つは、少し特殊な事例です。


姉妹2人
下の妹に知的障害があり、上の姉が妹の成年後見人をしていると言うケース。


さらに、妹には、音信不通の子どもがいる


お父さんが亡くなって、相続財産は自宅。


妹が住んでいるので、


「この家は下の妹に使わせてあげたい」


ただし、そのまま名義を移すと、
将来、妹が亡くなったときに
音信不通の子どもに実家の名義が行くリスクがあります。


ここでも自己信託が活躍しました。


そこで、
遺産分割協議はこんな内容。


姉が、自宅を取得
その代償として、その不動産を自己信託して、受益権を妹に渡す。


そして、自己信託の中で
下の妹が亡くなったら、受益権は姉に戻る。


という形を取りました。


もちろん、


・成年後見人と被後見人の利益相反なので特別代理人の選任
・家庭裁判所の許可


といった手続きをきちんと踏んで進めています。


裁判所にも説明し、
「この形でよい」と了承を得て進めました。


公証人の先生にも、説明してOKとのこと。


確かに、妹の子には遺留分はありますが、それはお金で解決すればいい。
一度、自宅の名義が移ってしまうと、後から戻すことはほぼ不可能です。


でも、自己信託+受益権の設計にしておけば、
将来はお金で解決できる余地を残すことができます。


「最悪の形だけは避ける」
そのための選択肢として、自己信託を活用しました。


■■ まとめ:自己信託は“選択肢の1つ”


こんなふうに、
 遺産分割協議+代償としての受益権
という場面では、
自己信託が使いやすいケースがあります。


信託を扱っている方にとって、
「こういう使い方もあるんだな」という
選択肢の1つとして、参考になればうれしいです。




お問い合わせ

ご予約はお電話、またはお問い合わせフォームより承ります。

お気軽にご連絡ください。

受付時間: 9:00〜17:00