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信託を学ぶには、どうしたらいい?

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2026.02.24
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司法書士の川嵜です。

今回は専門家向けの内容になります。


タイトルの質問、ときどきいただきます。


でも、これって意外と簡単には答えられない、なかなか難しい問題なんですよね。


おそらく質問している方は、「信託を“業務としてできるようになりたい”」という思いがあって聞いているのだと思います。


でも、正直言って、信託の本を何冊も読んでも、セミナーをたくさん受けても自信を持って実務をできるようにはなかなかならないと思います。


では、実際に信託を業務としてできるようになるには、何が一番大切か。


結論から言うと、実践するのが一番早い、ということです。

#それを言ったら身もフタもないけど


■■ インプットだけでは、業務はできるようにならない


資格試験の勉強でもよく言われますよね。
「インプットとアウトプットの両方が大事だ」と。
「どんな本を読んだらいいですか?」という質問は、まさにインプットの話です。


もちろん、本を何冊も読むことは大切です。

でも、正直なところ、実践がないと業務としてはできるようになりません。


僕も最初は、本を何冊か読みましたし、研修会にもいくつか参加しました。


当時(平成20年から25年頃)は、信託が出始めた頃だったので、司法書士会の勉強会もいろいろありました。


でも、正直なところ、
「なるほど、わかった!」
という感覚には、なかなかなりませんでした。


ちょうどその頃(平成25年頃)、僕は独立を考えていて、
「信託を業務の柱の一つにしたい」
という、かなり切実な思いがあったんですよね。


そんなときに参加したのが、僕の師匠である河合保弘先生の研修会でした。


新潟から東京まで行って、参加費も払って、懇親会があれば泊まりも必要で……。


当時は独立も考えていたし、あまり余裕もなかったので、
正直、「お金かかるなあ」「行くのやめようかな」と思ったのも本音です。


でも、思い切って行ってみたら、
それまでまったくイメージできなかった信託が、
「あ、こうやって使うんだ」
と、初めて腹落ちしたんです。


認知症の事前対策として、認知症になる前に信託しておけば、
判断力がなくなった後でも不動産やその他の財産の運用や活用ができる。


それを受託者が担うという仕組み。
そこで初めて、


「信託って、認知症対策にものすごく有効なんだ」


と実感しました。


■■ 「業務としてできるようになるには?」


研修会のあと、僕は河合先生にこう聞きました。


「どうしたら、信託を業務として受任できるようになりますか?」


すると、返ってきた答えは、まさかの一言。


「セミナーをやりなさい」


正直、
「知識も不十分だし、本も数冊読んだだけなのに、人前で話すなんて無理だ」
と思いました。


でも、結局セミナーをやり始めて、続けていくうちに、


#たくさん冷や汗もかいた
#でも仲間もたくさんできた
#それが民事信託監督人協会のメンバー


人から質問されて、答えるために必死に調べて、考えて、整理して。


その繰り返しの中で、
少しずつ信託が「自分の言葉」で語れるようになり、自信がついてきたんです。


■■ まずはインプットにおすすめの本


1) 新しい家族信託 遠藤 英嗣 著

遠藤先生の『新しい家族信託』
事例が豊富で、取っかかりとしても良い一冊です。
だいぶ厚いですが・・・


2) 信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 笹島修平 著

信託を手がけるには、税金の知識は絶対必要。
この本は、手元に一冊置いておきたい定番書です。


3) 条解信託法 道垣内弘人 編集


値段は少し高いですが、実務をやるなら必須です。
2026年2月25日に改訂版が出る予定なので、
買うなら改訂後が良いと思います。
特に信託は第三者とのやりとりが生じますから、理論的な裏付けに頼りになる存在です。
(銀行の法務部や、法務局とやりとりすることはよくある)


4) 信託登記の実務 信託登記実務研究会 著

司法書士には、これは絶対に必要です。
書式も豊富に載っています。
ただ、信託目録の作り方の細かい説明がないんですよね。
不動産登記法97条に、信託目録に記載すべき事項が載っていますが、それだけではよくわからないです。
私も信託登記のオンライン講座を販売していましたが、
ちょっと古くなったので、更新を検討中


これだけど、買わないでください。
アフターフォローができないので。
https://kawasakikazuo.com/2020/02/21/post-1942/


特に信託終了時に、必要になる登記は、今では考え方が変わっていますので。


具体的には

講座では、受益者と委託者の変更の登記を1本でするように解説していますが、
今では、
受益者変更登記と、委託者変更登記は分けて行います。


5)入門 信託と信託法  樋口範雄夫 著

信託の“本質”を学びたいならこの本ですね。
この本は、信託の根本的な考え方や本質が、とてもわかりやすく書かれています。
「制度としての信託」を理解するには、おすすめの一冊です。


■■ 体系的に学べる研修会も活用する


民事信託推進センターの「民事信託士」研修
 
家族信託普及協会の「家族信託専門士」研修会

民事信託推進センターは、
理事の多くが司法書士なので、司法書士の目線での研修会だと思います。
(私は受けたことがないですが)
2025年の研修会のカリキュラムは公開されており、こんな感じでした。


 1コマ目「信託の基礎」 約60分
 2コマ目「民事信託の税務」約60分
 3コマ目「裁判例から学ぶ民事信託」 約60分
 4コマ目「契約書作成のイロハ」 約60分
 5コマ目「民事信託の登記」 約120分
 6コマ目「民事信託と成年後見の連携」約45分
 7コマ目「商事信託における民事信託士の役割」約45分


家族信託普及協会の研修のメイン講師も、
司法書士の宮田浩志先生(めちゃくちゃ素晴らしい人!)ですが、
受講生は金融機関の人も多かったです。


#私はこの研修は、受けたことがあります


信託のヒアリングから組成に重点が置かれており、
信託登記は、カバーしていなかったと思います。


こうしたところは、体系的に学べるので、インプットとして良いと思います。


■■ 最後は、やっぱりアウトプット


一般の方向けに研修会をやると、
「こういうところでつまずくんだ」
「ここが不安なんだ」
というのが、リアルに見えてきます。


例えば、研修会で受けた、今でも忘れられない質問は


「信託と遺言がある場合、どちらが優先しますか?」


質問を受けたとき、「うっ!」ってなったのを覚えています。


#答えは、信託が優先
#理由は、信託は処分行為だから、遺言をしたあと信託するということは、その財産につき処分したということ


セミナーをするとなるとめちゃくちゃ勉強しますし、
このような質問にヒア汗をかきながら対応していくと、自ずと理解も深まります。


#失敗しながらでないと成長できない


また、事務所のホームページで、
本で学んだ事例を自分なりに整理して発信するのも、とても良いアウトプットになります。


こんなことを繰り返していくと、
「その規定は信託法183条第6項に、
その規定は相続税法9条の2に書いてありますね。」
ってなりますよ。


#どちらも超重要な条文だから目を通しておいて


■■ 最初の信託案件は、正直、怖い


問い合わせが来て、めでたく初受任!
でも、できるの?!


そんなときは、経験のある専門家と一緒に受けるのも一つの方法です。


報酬を分け合ってでも、安心と学びを得られる価値は大きいと思います。


僕もときどき受けることがありますが、その場合は、私がよく使っている
・信託契約書のサンプル
・信託登記の信託目録の書き方
・登記原因情報の書き方など
全て提供して、みっちりやる事がありますよ。


本を読んで、研修を受けて、資格を取っても、
それだけで「信託の業務ができます!」とは、正直なりません。


情報発信をして、実際に業務を受けて、
その繰り返しの中で、少しずつ、
「あ、自分、信託の実務をやれているな」
と感じられる瞬間が出てくると思います。


頑張ってくださいね!


■■ おわりに


いきなり、
「この本を読めば、もう信託は完璧です!」
なんてことは、絶対にありません。


少しずつ学びながら、少しずつ実践していく。


その積み重ねが、いちばんの近道だと、僕は思っています。
今日のお話が、少しでも参考になれば幸いです。


それでは、今日はこのへんで。
また次回。
バイバイ。


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