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おひとりさまこそ知っておきたい、机の上の「危険なサイン」
机の上が書類の山になっていませんか? それ、脳からのサインかもしれません。
役所や行政から届く書類って、正直、面倒に感じますよね。開けてもワクワクするわけでもなく、「後でゆっくり見よう」と、つい机の上に置いたまま……。そんな経験、誰にでもあると思います。
でも、認知症って、やっぱり少し怖い。特におひとりさまにとっては切実な問題です。
たくさんのお宅を訪問していると、あることに気づきます。90歳を超えても元気にシャキッとしている方と、70代でも認知症の兆しが見え始めている方。その違いが、机の上に表れていることがあるのです。
元気な方のお宅は、家の中がすっきり片づいていることが多い(もちろん全員ではありませんが)。役所からの書類が山積みになっている光景も、あまり見かけません。
反対に、認知症が始まりつつある方のお宅では、机の上に書類が積み重なり、薬の袋も置きっぱなし、洗濯物も山に……。片づけること自体が難しくなっているのだと思います。
あなたの家のダイニングテーブルやソファの上に、郵便物や薬の袋で小さな「山」ができていませんか?
とはいえ、正直に言うと、私自身の机の上もちょっとしたカオス状態なので、あまり偉そうなことは言えないのですが。
■■ 90代でもシャキッとしている、お二人の先輩
現場で出会った、忘れられないお二人のお話をさせてください。
一人は、90代前半の信雄さん(仮名)。とにかく家の中が驚くほど整っています。「あの書類、ありますか?」とお尋ねすると、「ああ、それならここだよ」とスッと立ち上がり、引き出しから迷わず出してくださる。90代でスッと立ち上がれること自体、なかなかできることではありません。
もう一人は、90代後半(!)のヒロさん(仮名)。お宅はいつ伺ってもホコリ一つ落ちていません。足腰は少し弱ってきても、ご自分で歩けて、頭は本当にしっかり。おしゃべりが大好きで、訪問すると玄関まで出迎えてくださり、お茶まで用意してくださる。年齢を感じさせません。
このお二人に共通しているのは、家がきれいなことだけではありません。ちゃんと「人とのつながり」を持っていることなんです。信雄さんは毎週元気に卓球へ通われ、ヒロさんは毎日、玄関先で登下校する小学生に「おはよう」「おかえり」と声をかけている。地域のなかに、しっかりとご自分の居場所を持っていらっしゃるのです。
■■ 「だらしない」のではなく、脳が出しているSOS
一方で、こんなご夫婦もいらっしゃいました。86歳の奥さまと88歳のご主人の二人暮らしです。
奥さまは体はよく動くけれど、少し認知症の症状が出始めていました。
ご主人のほうは頭はしっかりされているものの、お体が弱くて立ち上がるのがやっと、という状態です。
ご自宅を訪問すると、ダイニングテーブルは書類の山。役所からの封筒、いろいろなメモ、病院の薬の袋が、何層にも積み重なっていました。「あの通知はどこですか?」とお聞きしても、あちこちをひっくり返すばかりで、なかなか出てきません。
これは決して、奥さまが「だらしなくなった」わけではないんです。
認知機能が落ちてくると、モノが捨てられなくなったり、同じものを何度も買ってしまったりして、部屋にモノが積み上がっていく。現場ではよく言われることです。
考えてみれば、届いた郵便を見て「これは捨てるもの」「これは残しておくもの」と瞬時に仕分ける作業は、脳にとってかなり高度で、大きなエネルギーを使う仕事です。
だから机の上が書類の山になってしまうのは、サボっているからではなく、脳が「ちょっと疲れているよ」とSOSを出しているサインなのかもしれません。特に、これまできちんと片づけてこられた方ほど、その変化は見逃せません。
■■ 脳を若く保つヒケツは「人と会うこと」
「じゃあ、脳を若々しく保って、部屋もきれいに保つには?」と思いますよね。その答えが、さきほどの90代のお二人が実践されていた「人と会話をすること」「コミュニティに参加すること」なんです。
人と関わっていると、「今度ケアマネさんが来るから」「お友達が遊びに来るから」といった、良い意味での適度な緊張感が生まれます。「誰かに見られるかもしれない」「見苦しいところは見せたくない」——その気持ちこそが、部屋を片づける大きなモチベーションになります。
人とのおしゃべりは、脳にとっても大切な栄養なのかもしれませんね。
■■ 思い切って、外へ出かけてみませんか
もし今、あなたの家の机の上が、書類や薬の袋で山になりかけているなら、それは「最近ちょっと脳がお疲れですよ」という、体からの優しいメッセージかもしれません。
そんなときは、一念発起して、ちょっとおしゃれをして、一歩外へ出かけてみませんか。
近所の方と挨拶を交わしたり、お友達と他愛のないおしゃべりを楽しんだり。それだけで気分も晴れて、いつのまにか机の上も片づいているかもしれません。
いつまでも脳を若々しく保ち、自立した暮らしを守るために。人との関わりを、大切にしていきたいですね。