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家族信託の契約書 公正証書にする? 信託の口座はどうする? 2回目

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2026.09.22
ChatGPT Image 2026年9月22日 23_04_50

司法書士の川嵜です。

前回の続きです。今回も専門家向けの内容です。


信託の業務を手伝ってと言われるとき、ほぼ必ず聞かれる2つの質問
・契約書は公正証書で作るか?
・信託の口座はどうするか?


前回は、信託契約を公正証書でつくるかという論点に、
公正証書でつくる理由をしっかり考えましょう!
という、点でお送りしました。


公正証書でつくるメリットが3つあって、そのメリットを享受するなら公正証書
あと、銀行など、関係者から要望されれば公正証書
そうじゃなかったら、私文書でもいいのでは、という内容でしたね。


今回は、信託口座をどうするか?
という内容でお送りします。


■■ 信託口座は作るべきか


私の場合、親のお金の管理など、家族間で対立がないシンプルな信託であれば、必ずしも正式な信託口座を作るわけではありません。


#いきなり結論


受託者がもともと持っている口座のうち、使っていないものを信託財産専用として使ったり、受託者に、新しく普通の口座を作ってもらって、そこに信託したお金を保管したりすることがあります。


もちろん、受託者個人のお金とは明確に分けて管理することが前提です。
分別管理は受託者の義務。
(信託法26条)


■■ 信託口座の大きなメリット


では、信託口座を作る最大のメリットは何か?


「受託者が突然亡くなった場合の処理がしやすい」、
という点ですね。


普通の受託者個人名義の預金口座を使っていた場合、受託者が亡くなると、銀行の窓口では、
「口座名義人が亡くなったので相続手続きですね」
という扱いをされます。


しかし、その預金が信託財産であれば、本来は受託者個人の相続財産ではありません。


信託法上、信託財産は受託者自身の固有財産とは別のものとして扱われます。


理屈の上では、新しい受託者へ引き継ぐべき財産です。


ただし、普通預金口座を使っている場合、銀行の窓口でその説明をして、すんなり理解してもらえる訳がありません。
窓口では、判断できないでしょう。


少なくとも、銀行の本部とやりとりすることになります。
場合によっては、法的手続きを検討しなければならないこともあるでしょう。
預託金返還請求訴訟でしょうか。


ですから、
「受託者に万一のことがあったとき、銀行ともめる可能性をできるだけ減らしたい」
ということであれば、最初から正式な信託口座を作っておく意味は十分あります。


■■ どこまでリスクを取るか


一方で、人は通常、何の前触れもなく亡くなるケースは多くはありません。


受託者に大きな病気が見つかったり、健康上の問題が出てきたりした段階で、受託者を変更して、新しい受託者のもとで口座を作り直すという対応も考えられます。
もちろん、突然亡くなる可能性はゼロではありません。
交通事故とか。


だから、結局は、

「そのリスクをどこまで取るか」
という話になってきます。


また、受託者が破産した場合や、受託者個人の債権者から差押えを受けた場合についても、信託財産には倒産隔離の仕組みがあります。


正式な信託口座であれば、差押えを免れるでしょう。


でも普通の口座だといったんは差押えされると思います。


#差押えされるような人に信託するな


でもこっちは簡単。
信託法14条の反対解釈で、預金は、第三者に対抗できます。


請求異議の訴えや第三者異議の訴えをすれば、差押えは免れると考えられます。


まあ、いったんは差押えされるけど、なんとかなる、
ということですね。


■■ 預金については別な重大な問題が


預金を信託口座にするかどうかは、実務上は、大きな問題ではありません。
何か?


信託用の口座に、お金を移せるか?
という問題です。


たとえば、500万円信託するとします。


そのお金は、委託者(通常は高齢者)の口座に入っています。


それを、受託者の口座に移す必要があります。


ATMでは、移せるような金額ではないですよね。


そうすると窓口で、その手続きをします。


つまり
・委託者は、そもそも窓口に行けるか
・窓口で500万円動かすことに、窓口の担当者が納得するか
という問題が起きます。


それに、「信託で移すんです」と窓口で言うと、
銀行はマネーロンダリングの関係で(「FATF」で調べてみてください)、非常に神経質になっています。


ですから、委託者から受託者への実際の資金移動でけっこう苦労することがあります。


正式な信託口座をつくる云々より、実務上は、受託者へ資金移動ができるか?
という方が大きな問題です。


キャッシュカードで50万円ずつ引き出して、お金を受託者の口座に移している人もいます。
これってなかなか書籍には書いていない情報だと思います。


■■ 結局は「何を重視するか」


ですから、私自身の考えでは、
「必ず公正証書」
「必ず信託口座」
という考え方はしていません。


案件の内容、金融機関の関与、委託者の判断能力、家族関係、信託する財産の金額、受託者の年齢や健康状態などを見ながら判断しています。


銀行から条件として求められているのであれば、公正証書も信託口座も作る。


家族間でもめる可能性があるなら、公正証書にして公証人にも本人確認をしてもらう。


受託者死亡時の銀行対応のリスクをできるだけ減らしたいのであれば、信託口座を作る。


一方で、実家と多少のお金(100万円くらいとか)を信託するだけのシンプルなケースなら、そこまでコストや手間をかけないという選択肢もある。


ここは、専門家によって考え方が結構分かれるところだと思います。
どちらが絶対に正しい、という話でもありません。


結局は、
・何のリスクを避けたいのか
・そのために、どこまで費用と手間をかけるのか
というバランスの問題だと思います。


家族信託は、ひな形どおりに作れば終わり、というものではありません。


こういう細かいところで、その人の実務に対する考え方が出るんですよね。
(そして、実は資金移動がけっこう大変)


今回は、公正証書と信託口座について、私なりの考えを書いてみました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


じゃ、またね。
バイバイ


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